このページは資料的な意味で残している古いバージョンです。新しい情報は続・ポケットに広辞苑を(改訂版)をご覧ください。

続・ポケットに広辞苑を(追補版)

今は昔の1999年10月、当時CASSIOPEIA E-55ユーザーだった僕は、このマシンでどうしても広辞苑を使いたく、EPWING版の広辞苑をテキスト化したりマクロでいじったりと、いろいろあがいてみました。その時の記録が「窓辺の書斎」(当時は「或るソフトおたくの独り言」という名前でした)の「ポケットに広辞苑を」です。しかし実はその後、検索速度の遅さや漢字が使えない不便さにより、結局この「いんちきポケット広辞苑」は使わなくなってしまいました。

それから約1年。Windows用のハードディスク格納型辞典を多数リリースしているシステムソフトより、2000年6月にWindows CE版「広辞苑第五版POCKET」が発売されました。マシンもE-700にパワーアップし、これで真のポケット広辞苑が実現するぞ! と思いきや……「コンパクトフラッシュでの供給」、「Pocket PC非対応」という2点により、E-700では使うことができません。

しかし、長年の夢であるポケット広辞苑、あと一歩まで来ているのにあきらめるなんてできない! ということで、無理矢理動かしてみました。割とあっさり(でもないか)動いたので、例によって自分用の記録として(笑)手順などを書き残しておこうと思います。

注意:以下の方法はすべて、中村友次郎が勝手に調べた結果です。2000年10月18日現在、CASSIOPEIA E-700は「広辞苑第五版 POCKET」の動作対象機種でも、対応予定機種でもありません。これらの方法に関してシステムソフトに問い合わせることは絶対にしないでください!

2001/06/20追記:システムソフトからPocket PC対応のアップデータが公開されました(詳細)。製品情報の動作対象機種は更新されないので、これでE-700に正式対応したとはっきり言えるかどうかは不明ですが、アップデートの説明書にSDメモリカードに関する記述があることから、一応自己責任において利用するのは構わないようです。
このため、このページの内容も現状に合わないものとなってきましたが、全面改訂を行なう時間がないため、つぎ足しで拡張しています。後ろに「おまけ」として追加事項を記載している都合上、「後ろまで読めば読むほどお金を掛けないで済む」ようになっています(笑)。

何はともあれデータのコピー

まず、いちばん大きな、そして分かりやすい問題として、「E-700にはコンパクトフラッシュが挿せない(笑)」というものがあります。ですから、まずはデータをSDメモリカードにコピーしなければなりません。

インストーラによるセットアップは行なえない(PsPC版のSETUP.EXEを実行しても、対応環境ではないということではじかれます)ので、コピーするのは「Dic」フォルダのみでOKです。ちなみに、Dicフォルダ内のファイルの総サイズは35.1MB、これをコピーした後のSDメモリカード(64MBのもの)の残り容量は25.2MBでした。なんとか、ほかのデータなどと共存可能かな?

2001/06/20追記:そもそも、コンパクトフラッシュ版を購入する必要がないかもしれません。詳細は「(おまけ その4)なんだかいろいろポケットに!」をご覧ください。

プログラムの「手動」インストール

インストーラは利用できないので、プログラムを手動で適当なフォルダにコピーする必要があります。E-700で利用するのはMIPSのPsPC用なので、該当するプログラムのフォルダは「¥Setup¥Program¥PPC211¥mips」です。「dll」、「exe」、「shared」というサブフォルダがあり、その中にEXEやらDLLが入っていますが……。まあ、みんなまとめて一つのフォルダに入れちゃえばOKでしょう(いいかげん)。場所はどこでもよいですが、僕は「¥Progaram Files¥SystemoSoft Dictionary¥」としました。「shared」フォルダにあるものは共有DLLですから、本来はWindowsフォルダに置くのが正しいような気もしますが、まあ面倒が起こっても何なので、EXEと同じ場所に置いておきました。

インストーラでインストールすると、この辺は全部Windowsフォルダにコピーするみたいですね。好みじゃないなぁ(笑)。

ちなみに、ヘルプやら凡例やらのファイルには手を付けていません。これらも使いたい場合は、各自工夫してください。僕はいらないので、何が必要なのかは調べていません……。

なお、同じくシステムソフトより発売されている、「現代用語の基礎知識2001年版POCKET」または「漢字源POCKET」があれば、この手順は必要ありません。くわしくは「(おまけ その2)Pocket PC化への道」をご覧ください。

2001/06/20追記:システムソフトよりアップデータ(=Pocket PC版のプログラム)が公開されたので、これを利用すれば「現代用語の基礎知識」などを購入する必要もありません。くわしくは「(おまけ その3)ついにアップデータ公開!」をご覧ください。

レジストリの設定

広辞苑第五版POCKETに関するレジストリの設定ここまでできたら、とりあえずソフトの起動はできるはずです。ただし、辞典データのありかなどを設定していませんから、起動しても「辞典なし」になってしまい、辞典の選択もできません。

これは本来のインストール作業を行なっていないため、レジストリに辞典が登録されていないためです。というわけで、レジストリのキーの作成、編集を行ないます。Pocket PCにはレジストリエディタが付属していませんから、適当なオンラインソフトなどを利用してください。僕はTascalSoftのTascalRegEditを使いました。

「HKEY_LOCAL_MACHINE¥Software¥SystemSoft¥SSDictionary¥Dic¥00000012」が、システムソフト電子辞典の辞典設定のキーです。もちろん標準では存在しないので、まずはキーを作成します。その上で、下記の値を入力します。

名前 データの型 内容
DicID DWORD(16進) 00000012
SRCINFO 複数文字列 株式会社岩波書店 広辞苑第五版
DicPath 複数文字列 ¥メモリ カード¥Dic¥Kojien5¥Kojien5.idx(実際には半角カナ)
DicName 複数文字列 広辞苑第五版

これは、インストーラを使ってインストールした場合に作成されるキーと同一です。会社の同僚から、COMPAQのPsPC「Presario213」を借りてインストールし、確認しました。(余談ですがこのPresario、その後そのまんま3,000円で買ってしまいました(笑))。

ちなみにSRCINFOは内容をクリップボードにコピーしたときに付加されるタイトル、DicPathはインデックスファイルのパス、DicNameはメニューやタイトルバーに表示される辞典名のようです。キーの名前とDicIDの値は、どうも、何にしても問題ないようですが、一応そのままにしておいたほうがよいでしょう。もしかしたらヘルプや凡例を利用する際に必要なのかもしれません。

ポケットで広辞苑だ!

広辞苑第五版POCKETの実行画面これで準備は完了。「ファイルエクスプローラ」などから「EDViewCE」を実行すれば、「広辞苑第五版」が起動します。PsPCアプリのため例によってメニューバーとタイトルバーが上下逆さまになってしまいますが、動作自体は全く問題なく、しおりやヒストリなども使えます。検索速度もさすがE-700といった感じで、前方一致で大量の候補を表示させるのでなければ、ほとんど一瞬です。

検索方法は前方一致と完全一致があります。後方一致はインデックスの容量の都合で削られたのでしょう。僕が気に入ったのは「ランダム検索」で、ひまつぶしにはもってこいです。辞典の容量がかさむこともあり、SDメモリカードに入れていたゲームをアンインストールしてしまいました(笑)。

(おまけ)リーダーズもポケットに

リーダーズ英和辞典第2版POCKETの実行画面同様にして、2000年9月に発売された「リーダーズ英和辞典第2版POCKET」もインストールしてみました。Dicフォルダの容量は48.8MB、コピー後のSDメモリカードの空き容量は11.6MBです。さすがにちと、容量がきついですね。

レジストリの値は以下のとおりです。キー名は「HKEY_LOCAL_MACHINE¥Software¥SystemSoft¥SSDictionary¥Dic¥00000037」となります。

名前 データの型 内容
DicID DWORD(16進) 00000037
SRCINFO 複数文字列 株式会社研究社 リーダーズ英和辞典第2版
DicPath 複数文字列 ¥メモリ カード¥Dic¥Readers2¥Readers2.idx(実際には半角カナ)
DicName 複数文字列 リーダーズ英和辞典第2版

128MBのSDメモリカードが発売されたら両方入れられますが、それまでは広辞苑の方を入れておくことになりそうです。というか、ほとんどレジストリの値を見たいがためだけに買っちゃった僕って、だめな奴ですか。

(おまけ その2)Pocket PC化への道

広辞苑第五版POCKETの実行画面(Pocket PC版の検索ソフトを使用)さて、広辞苑およびリーダーズは、2001年4月16日現在においても、Pocket PCには対応していません。そのため、当然ながら検索ソフトはPalmsize-PC用であり、ツールバー、タイトルバーの位置がPocket PCネイティブ対応のソフトとは逆になっています。実用には問題ないのですが……。

これを何とかしたい場合は、「プログラムの『手動』インストール」を行なうかわりに、システムソフトより2001年3月末に新たに発売された「現代用語の基礎知識2001年版POCKET」あるいは「漢字源POCKET」のプログラムを入れることで、ソフトのPocket PC化が行なえます。マニュアルのとおりに、普通にインストールすれば問題ありません。辞書本体を使うつもりがなければ、インストール時にはプログラム本体(およびお好みでヘルプ)だけを選択し、辞書(正確にはその辞書を使うための設定データ)および凡例はインストールしないでOKです。

これらの辞書も必要としている人ならともかく、プログラムだけを目当てに、安いほうでも4,800円するものを買うのはどうか……という話もあるかと思いますが、まあ、それはそれ。ホントはシステムソフトがアップデータを出してくれれば、というかそもそも広辞苑も新パッケージということで、CD-ROMで供給してくれればいいんですけどねえ。

(おまけ その3)ついにアップデータ公開!

システムソフトのダウンロードコーナーで、「広辞苑第五版POCKET」アップデータ「リーダーズ英和辞典第2版POCKET」アップデータが公開されています。これらを利用すれば、上記の手順のうち、「プログラムの『手動』インストール」は省略できます。

(おまけ その4)なんだかいろいろポケットに!

日外コンピュータ用語辞典第3版の画面このページをご覧になった方(ここをご覧になる前からご自分で同様の方法を実践なさっていたそうです)から、「Windows版のシステムソフト辞典のデータもそのまま使えますよ」というご報告をいただきました。「よろしければお試しあれ」とのことでしたので、はい、試しましたよ、5本ほど(笑)。

どれもすべて、問題なくPocket PCで利用可能でした。恐らく、付属の検索ソフトのバージョンが2.0以上のもの(現在市場に出まわっているものすべて?)なら、利用可能なのではないかと思います。豊富なラインナップを持つシステムソフト辞典のシリーズがそのまま使えるというのは、非常に魅力的です!

なお、レジストリの設定ですが、「DicPath」のインデックスファイル指定のみ正確に行なえば、DicIDなどは何でも構わないようです(凡例などを使う場合は関係あるのかもしれませんが)。

僕が試したものと、先の方から「これは動いた」と教えていただいたものを、以下に掲載します。ご参考まで。また、もし「これも動いた」というのがありましたら、ぜひご報告をいただければと思います。

辞典名 転送するフォルダ インデックス 容量 備考
広辞苑 第五版 図版付き ¥DicData¥KOJIEN5F Kojien5f.idx 57.2MB COLSCR.DICは転送しない
岩波国語辞典第六版 ¥DICDATA¥IK6 IK6.IDX 8.55MB
新明解国語辞典第五版 ¥DICDATA¥SINMEI
¥DICDATA¥YOJI(用字用語辞典)
SINMEI.IDX
YOJI.IDX
12.0MB/4.02MB
ジーニアス英和・和英辞典 ¥DICDATA¥GENIUS GENIUS.IDX 48.0MB PCMDATA.DICは転送しない
日外コンピュータ用語辞典第3版 英和・和英 ¥DICDATA¥NCOMP3
¥DICDATA¥NCOMP3YO(用例)
NCOMP3.IDX
NCOMP3YO.IDX
42.3MB
13.2MB
リーダーズ英和辞典第2版 N/A N/A N/A 読者の方のご報告による
リーダーズ・プラス N/A N/A N/A 読者の方のご報告による
図解による法律用語辞典-全訂版 N/A N/A N/A 読者の方のご報告による(体験版で確認とのこと)

結論

「現代用語の基礎知識2001年版POCKET」、「漢字源POCKET」がCD-ROMとして発売された現在においても、「広辞苑第五版POCKET」と「リーダーズ英和辞典第2版POCKET」は高価な、そしてSDメモリカード機のユーザーにとっては無意味なコンパクトフラッシュ版しか販売されていません。

しかし、アップデータとWindows版の広辞苑第五版、リーダーズ英和辞典第2版と組み合わせることで、合理的な価格で同等の環境を手に入れることが可能です。さらに、そのほかのさまざまな辞書も利用することが可能です。

Copyright©1998-2005 Yujiro Nakamura All rights reserved.
本サイトに関するご連絡の方法はreadmeをご参照ください。
本Webページの無断引用、本Webページへの無断リンクを歓迎します(笑)。